「響け!ユーフォニアム」シリーズの武田綾乃先生のデビュー作。テンポ良く吸い込まれるように読み進んだ。カバーに記載されている説明を読まずに読み進めていったのだが、これは三角関係の話なのかな?と思いながら読んでいた。この「?」は、男性が男性を好きだったり、女性が男性に嫉妬したりしていたからだ。各々が抱えている家庭環境の問題やトラウマ等の描写は後の「響け!ユーフォニアム」シリーズへの流れを感じた。作中に《ライクじゃなくてラブ》という台詞があった(「響け!ユーフォニアム」の麗奈の台詞)。沖泰斗が宮澤けいとと出会った時に、けいとが読んでいたのは綿矢りさ先生の「蹴りたい背中」。「蹴りたい背中」は武田先生が小説家を目指すキッカケになった作品で綿矢りさ先生の作品への敬愛が感じられた。作品の終わり方も、なんとなく綿矢りさ先生の作品に近い感じがした。
今日、きみと息をする。 (宝島社文庫 『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)